2007年6月26日火曜日

はじめまして「ハープ」です(平成19年6月)

5月15日に静岡の日本平動物園からジェフロイクモザルの雄がやってきました。
雄といってもまだ小さくて2才と半年くらいです。
くもざる・かぴばら館ができた2005年8月29日に
雄のシャボがカピバラとの闘争という事故で死亡してから雌3頭での飼育でした。 

早く雄を迎えたかったのですが,いろいろと情報を集めると,
雄の導入はそう簡単ではない可能性がありそうでした。
雌だけの群れに雄を単独で導入すると
雌にいじめられて最悪の場合は殺されてしまう…
このような話を複数聞きました。
勿論個体の性格や相性なども影響するのでしょうが,
「あり得るかも」と考えさせられるサルなのは確かでした。
 
飼育しているクモザルを観察していると
他のサル類とは一般的な性質がずいぶんと違うことに驚かされます。
カピバラと同居した日,みんなで肩を組み2本足でカピバラににじり寄ったり,
興味を示すものが個体によってバラバラだったり,
例えば動物を捕まえるタモ(網)という道具があるのですが
チャコという個体はそれがはるか離れた場所であっても見えたら最後,
一日中警戒して鳴いています。
ジュンという個体は僕に対して明らかに好意を抱いていて(
もしかしたら雄としてみてるのかと思えたりするくらい)
檻の中に入ると僕の胸までよじ登ってきて,抱きついて離れません。
僕が他の個体にかまうと,明らかにやきもちを焼きます。
全く「馴らす」とか「馴致」とかしていないのにです。
一般的にはあり得ないような行動を取ります。
とても個性が豊かなのです。
予測困難なことが多いのです。
 
雄を導入する方法として,
「雄の赤ちゃんを抱いた雌を群れに入れて赤ちゃんが大きくなるのを待つ」だけど,
そう都合よく雄の子持ちの旭山に譲ってもいい雌ザルは見つかりませんでした。
そこでまだ「雄」になっていない親から離れた子供を迎えられないか,
という考えにたどり着きました。
旭山にもまだ3才(大人になるのは8才くらい)のフミもいるし
よい遊び相手になると思われました。
 
で,やってきたハープ君見た目はキューピーちゃんそっくりでとても愛嬌があります。
心配だった雌たちの反応も上々でどの個体も敵対的な反応はありませんでした。
現在同居は順調です。
異種動物カピバラとのお見合いも終わりました。
後は放飼場に出るだけです。
2世誕生はまだまだ先のことになりますが,
次のハードルはハープが大人になる時期なのかなと思っています。
ジュンがいじわるおばさんにならなきゃいいのですが…

クモザルの「ハープ」(ゲンちゃん画伯)