2004年11月29日月曜日

動物園はなぜ必要なの?(平成16年11月)

想像もつかないことの連続の夏期開園が終わりました。
122万人という数字は正直とんでもない数字でした。
冬期開園はどうなるんでしょう?

9月19日にホッキョクグマのカンゾーが死亡しました。
ほっきょくぐま館のオープンに合わせて来園した個体でした。
高齢でしたが、立派な体格で
これぞホッキョクグマという威厳のある容姿をしていました。

実はカンゾーの名前の由来は性格がきかないので
「きカンゾー」でもあったのですが、
来園時からの血液検査で肝臓の機能が低下していての
「カンゾー」でもあったのです。
飼育下では飛び抜けて高齢だった個体なので、
漢方薬などの肝機能改善薬を常用してきました。
僕たちの中ではいつ逝ってもという覚悟はできていました。
8月の夜の動物園から体調を崩し、
肝機能に加え腎機能も著しく低下し始めました。
動物園で飼育していても野生動物です。
人に触られる、吹き矢で麻酔をされることは何よりも苦痛です。
老衰で治癒の見込みがないと判断したので、
最後に苦痛だけを与えて最後を迎えさせることは避け、
無理な治療はしませんでした。
 
ホッキョクグマは野生下では2万頭前後の生息と推定されています。
当園の連休の中日の入園者数です。
地球上にこれだけです。
緊急に絶滅の心配はないとされていて、
輸出国の許可さえあれば輸入することは可能です。
しかし特に日本には輸出国の許可がおりません。
その理由は本来の生息地から
わざわざ持ち出すことをしない方針もあるのですが、
日本は動物を見せ物にして、ろくに繁殖もさせずに「消費」しているとの
痛烈な批判があるからです。
日本に輸出することへの国民の理解が得られないのです。

しかし、なぜ日本でホッキョクグマを展示しなければならないのでしょうか?
もっといえば動物園はなぜ必要なのでしょうか?
そのことを真剣に考え反省しないと
日本の動物園の将来は見えてこない気がします。 
カンゾーがいなくって、
アザラシ目線のカプセルのある放飼場にはコユキ1頭になりました。
元来クマは単独生活なので
カンゾーがいなくなってもコユキはケロッとしています。
でも展示効果としてはピンチです。
コユキもおばあちゃんでカプセルから人が顔を出しても知らん顔です。
でも心配はご無用です。
ちゃんと新しいニューフェイスが来園しました。
今いるハッピーの姪にあたるルルです。
旭山の血筋です。
若いので将来を考えてイワンと一緒にしようと考えています。
そしてハッピーをコユキの放飼場に馴らしていこうと思います。

この手紙の頃にはお披露目されているかな?

ホッキョクグマのイワン

画:ゲンちゃん