2002年4月30日火曜日

人次第(平成14年春)

今年は雪解けも早く、近頃記憶にないくらい、
雪との格闘が無い年でした。
なにせ4月の夏期開園の日には
「芝生が緑で雪がない。」のが至上命令というか
慣例になっているので、雪を消すのに
大変な年は本当に大変なんです。
ほっといても無くなる雪と、
暖かい日差しを浴びながら汗をかきながら格闘するのは
どこかむなしいものがあります。
 でも早すぎるのも心配です。
「ととりの村」の池の水です。
冬の間、水を抜いていて、
4月の中旬頃に池を掃除してから雪解けの沢水を入れるのですが、
雪が少なかったこともあり、今年はどれだけ沢水があるのか心配です。
それと桜も心配ですね。
ゴールデンウィークと桜が重なると大混乱しそうです。
こんな心配もすることがあるのですね。
ここまで気候が狂うと、今年はどうなるのかなって考えてしまいます。

さて今年は「ほっきょくぐま館」がオープンします。
ぺんぎん館に続いて冬の主役となる建物ですね。
今、一番の悩みは動物の確保です。
去年、相次いでホッキョクグマの雄が死亡しました。
現在は2頭の雌を飼育しています。
新しい建物には放飼場が2カ所、産室も2カ所あります。
つい数年前までホッキョクグマの入手は比較的容易でした。
ところが、現在はほぼ不可能に近くなっています。
原因は日本の動物園での繁殖が全くうまくいっていないことと、
外国から入ってこないことが原因です。
ホッキョクグマは「ワシントン条約」の2表の動物で、
輸出国の政府の許可があれば輸入できます。
じゃあ原因は野生での個体数が減っている、
あるいは飼育下での個体数が減っている、ということではないのです。
本来の生息地ではない地域に持ち出すことを制限し始めたからなのです。
ペンギンもそうです。

動物園は人間が勝手に動物を閉じこめ、飼育している施設です。
野生の動物を生かすのも殺すのも「人間次第」です。
動物園が飼育している動物を通して何を伝えるのか、
お金さえ出せばといったおごりがないのか、
今一度しっかりと考えなければいけない時代になってきたといえます。

動物園の存在が地球のためになるように、
野生動物の世界と人の世界を結ぶ架け橋になるように
努力をし続けなければと思います。

ホッキョクグマ

画:ゲンちゃん