1999年4月30日金曜日

開園準備(平成11年春)

今年の冬はみなさんも雪には悩まされたのではないでしょうか?
これでもか、と追い打ちをかけるように雪が降りました。

4月に入っても園内は80センチの積雪がありました。
例年4月29日の開園前の4月は堆肥出しや砂利入れ、
動物たちのための遊具の取り付け、
サルや鳥の止まり木の取り替え、冬がこいの取り外し、
動物の移動などたくさんの作業に追われます。

ところが今年は、4月の中旬まで雪割りしかできませんでした。
開園始まって以来初めて園内の排雪もしました。
動物園が所属する商工部の人たちにも、
雪割りの応援をしていただきました。
その甲斐あって、開園はいつものとおり
雪のない状態でオープンできそうです。

「雪のない動物園でオープンすること。」
これはだれが決めたことでもないのですが、
破ってはいけない「掟」のように職員みんなに重くのしかかっていました。
「ほっておいてもいつかなくなるのに…」
頭のどこかにこんな思いがあっても来る日も来る日も雪割りで、
建設的でない作業に気が滅入ったりもしました。

動物たちはそんなこと知ったこっちゃなくて、
トラは毎日降る雪の中で真っ白になって走り回っていました。
だけど4月中旬、雪が解け初めて表面が堅くなり滑りやすくなると、
トラの雌・ノンは外に出たがらなくなりました。
初めてスケートをする人みたいに、
ちょっとでも足が滑ると動けなくなるので、
見ている僕らは大笑いしていたのですが、
本人には大変なことだったようで、
あまりにも体中に力が入りすぎて腰を痛めてしまいました。
オスのいっちゃんは全然平気で走り回っていたので、
ノンは運動神経が鈍いのか、恐がりなのか、
コンクリートで平らなところしか知らない都会っ子なのかそんなとこでしょう。

この手紙を書きながら園内を見ると芝生が緑になっていて、
ほんの少し前の真っ白な風景が嘘のようです。
やっぱりほっておいても、
消えてなくなってたんじゃないかななんて思ってしまいます。

ニホンザル
画:ゲンちゃん