2015年1月18日日曜日

キングペンギンのひなは散歩に出るか? (平成27年1月)

さてさて皆様は新年をどのように迎えられたでしょうか?
動物的に365分の1日に過ぎないのだと思う一方で、
やはりヒトとしての性で何か特別な通過点であり、
改めての振り返りと新たな前進のスタートの日でありますね。

昨年はマリモの死、旭子の入園、オオカミ、タンチョウ、レッサーパンダなど
たくさんの命の誕生、アムールトラの入園…たくさんの命との出会い、お別れがありました。
今年はいよいよヨーロッパからイボイノシシ、ロシアからアムールヒョウの来園が決まり
手続きが進行しています。

施設のリニューアルは、こども牧場前のワシタカ舎をクジャク舎としてオープンすべく
改修工事を行っています。
新クジャク舎のオープンは新年度からとなります。
「クジャクは地面だけにいる鳥ではない」がテーマです。

さて冬と言えば、すっかり旭山の風物詩となったペンギンの散歩、
その主役はキングペンギンです。
今シーズン初めて茶色の雛が2羽成長しています。
野生であれば雛はクレイシという雛だけの集団を作り、
親鳥が海から捕ってきた餌を運んでくるのを待つのですが、
動物園では親鳥と一緒に散歩に出かけるようになったりします。

さてこの2羽はどうなのでしょうか?
今までは散歩に出かけたはいいけど途中で嫌になり歩かなくなり、
そのたびに雛だけを抱えてぺんぎん館まで持ち帰ったりとけっこう手を焼かせてきました。
2羽同時に散歩に出て歩かなくなったらどうしようかと今から頭を悩ませています。

実はこの雛の一羽は、雄同士ペアーに育てられています。
旭山のキングペンギンはもともとメスが少ないこともありますが、
食べ物と安全が保証され「ゆとり」がある環境が大きく影響して、
ある特定の雄がモテる傾向があります。
一羽の雄が2羽のメスと交尾し産卵します。
どちらか一羽のメスが単独で抱卵することになります。
でも抱卵や育雛は2羽で交代しなければできません。

そこで雄同士ペアーに卵を預ける作戦にしました。
ペアーを組めなかった雄は擬似的に雄同士でペアーを組むものが現れます。
争いを避ける仕組みがあるのだと思われますが、
お互い相手をメスだと思い込むことでペアーになる…
彼らの心境を考えるとちょっと心が痛いですね。

そのペアーに擬卵を与えると、アレッ!?お互いに相手がほんとにメスだった、
ということになります。
さらに複雑な心境に…。
孵卵器に入れておいた本物の卵が嘴打ちをした段階で擬卵とすり替え、親元で雛が孵ります。
今年はこうして順調に雛が育っています。
暖かく見守っていただければと思います。