2011年3月31日木曜日

これからの未来に向けて (平成23年3月)

今回の日記は、東日本大震災が起きる前に書いたものです。
今は日本が一丸となり一日でも早く復興を成し遂げるために
頑張らなければいけません。
もちろん旭川市もその一員です。
一方で地球規模での気候変動や環境破壊は進行しています。
旭山動物園が取り組んでいる環境や生物多様性の保全を目指した活動は
継続していかなければいけないと考えています。
動物園にとっても今後様々な状況の変化があると考えられますが、
その状況の中での精一杯をこれからも続けていきたいと思います。

冬祭りも終わり、寒気もゆるみ早くも春か?みたいな天気です。
今年はタイやマレーシアなど今まで見なかった国の来園者が目立ちました。
本当に国際化してきたんだなと感じます。
暖かい国の人たちに、寒さをテーマにどのように見ていただけるのか
しっかりと考えていかなければいけませんね。
それにしてもわざわざ
旭山動物園をツアーに組み込んでもらえるなんて凄いことです。

今年も雪解けが早そうで、そうなると気になるのがエゾシカです…
2月に入ってからエゾシカの駆除の現場に
何回かお邪魔させていただきました。
200頭を目標に、と聞くとその程度ではどれほどの効果がなんて
勝手に思ってしまうのですが、
実際に行われる命の間引きの現場はどうなっているのだろう?
エゾシカを飼育展示している動物園の人間として
関わっておかなければいけないとの思いでした。

何よりも驚いたのが、樹皮や木の芽の食害でした。
知床程ではありませんが、
このままでは数年後にはこの雑木林はどうなっているんだろう?
旭川でもここまでなっている場所があるんだと愕然としました。
さらに一度に多数のエゾシカを狩ることの
難しさと大変さを目の当たりにしました。
机上の議論を具体化する現場の大変さを再認識しました。
さらに猟友会の方々の自然に対する造詣の深さや、
思いやりにも感動しました。
自分ももっと逞しくあらねばと強く思いました。

さて新年度の予算です。
念願の総合動物舎建て替えのための実施設計費が認められました。
仮称アフリカ生態園と呼んでいたものです。
開園以来からの施設でカバやキリンのいる建物です。
アジアゾウのアサコやマルミミゾウのナナ、シロサイのノシオ…
皆ここで暮らしていました。
湿気などで思いの外老朽化が進み、
だましだまし使っていますが限界が近づいていました。
何より、展示動物の数だけしか寝室がなく、
生まれた子供を残しておくことができませんでした。
カバは2頭、キリンも2頭開園以来暮らしている、
カバのゴンとザブコの子も皆他の動物園に
出さざるを得ませんでした。
旭山の血統は旭山で継代すること、これはホッキョクグマに限らず
将来も飼育展示する動物を維持するための基本です。

ですから新しい施設では、
最低カバは3頭、キリンは4頭程度飼育できる寝室を
用意しなければいけません。
それだけでも大変な金額になります。
厳しい財政状況の中、切りつめるとこは切りつめながら
旭山らしさを具体化していく覚悟です。
旭川市の大切な財産になるように頑張ります!