2010年2月28日日曜日

ボルネオへの恩返し (平成22年2月)

年が明けたと思ったら、はや雪祭りが迫ってきました。
冬期開園期間の正念場です。

今年は新生旭山動物園の活動が本格化します。
地元の野生動物との関わり方、
北海道のエゾシカを窓口にした自然の問題、
我々の生活がもたらす地球規模での問題、
すべて人との関わりの中で翻弄され続けてきた
生き物たちとの共存を目指す取り組みです。

旭山動物園は地球上の動物代表として、
ヒトに対してメッセージを発信し続け、
人間社会代表として動物たちと共存するための未来を探る
具体的な取り組みに着手します。

日本代表として、ボルネオへの恩返しプロジェクトが始動します。
具体的にはマレーシアサバ州と
「ボルネオ生物多様性保全に関する覚書」を交わしました。
「何じゃそれは!?」と思われるかもしれません。
要は未来に向かって、
たくさんの生き物たちと共存するためにできることをやろう!ということです。

なぜボルネオ?実は日常生活との関わりで見ると、
身近にある裏山のことよりも、
ボルネオでの自然環境破壊の方がより身近で起きている問題なのです。
そこは旭山で飼育している
ボルネオオランウータンのリアン、ジャック、モリトの故郷です。

「パーム油」聞いたことありますか?
CO2削減、環境に優しいを売りに洗濯用の洗剤に、
ポテトチップスやチョコレートなどのお菓子類に、
業務用の揚げ物油に、冷凍食品に、即席麺に…
さらには化粧品や塗料にまで数え上げたらきりがありません。
パーム油はアブラヤシから採れるのですが
日本はそのほとんどをマレーシアから輸入しています。
パーム油は世界的にも需要が鰻登りです。
現地では熱帯雨林が伐採され
アブラヤシのプランテーションが拡大しています。

さらに熱帯雨林から生産される
コンパネなどの木材が大量に輸入されています。
旭山でも手作り看板などのためにコンパネを大量に使っています。
春に購入したコンパネをふと見るとmade in malaysiaの文字が…

日本は生活の基盤を海外に頼っています。
本来オランウータンやボルネオゾウなどの野生動物のための豊かさを
パーム油という形で私たちが奪っているのです。

旭山動物園は、恩恵を受けているだけではなく
恩返しを!という発想から、
恩返しプロジェクトという形で、
サバ州に野生生物レスキューセンターの建築を目指します。
すでに寄附型の自動販売機も完成し全国に広がりを見せています。

旭山の夢が旭川市民の夢になればと願っています。

関連リンク:ボルネオへの恩返し
ボルネオ島の現状(ゲンちゃん画伯)