2009年12月31日木曜日

恩返しプロジェクト (平成21年12月)

今年最後の手紙ですね。
明るい話題でと考えていたのですが,訃報です。
ミナミシロサイのノシオが11月17日朝10時頃死亡してしまいました。
今年度は4月にオランウータンのモモが事故死,
6月にはアムールトラのいっちゃんのガンによる安楽殺など
まだ死ななくてもいい年齢の動物の死が続きました。
何とも晴れ晴れとしない年だった気がします。

昨年度来からの来園者数の減少傾向,

ベテラン飼育係が次々と退職を向かえ,
過去の本当に苦しかった時代を知らない世代に,

急激にバトンタッチしました。
動物慰霊碑の移動,僕はあまりげんを担いだりしないのですが,
開園42年目という年は何か節目のような,

抗しがたいものを感じさせられる年でした。
 開園以来多分,数千の,いやもしかしたら万の命が

この旭山で終わりをむかえています。
このたくさんの命は私たちが楽しむ,学ぶためだけ,の命として
終わらせてはいけないのだと思うようになりました。

動物園は所詮ヒトのエゴ,習性の産物です。
でも人類が地球上の生き物の運命を握ってしまった現状で,
私たちが他の生き物と共存する道を選択するために,
共に生きる生き物たちの生き方を知り

大切に思う心を育むために動物園は必要です。

でも,動物園で死を迎えた動物たちに動物園としてどう報いるのか?
飼育されている動物たちには野生での故郷があります。
仲間が暮らしています。
やはり動物たちの故郷に何か具体的に報いること,

恩返しをすることなのだと思います。

そういう意味で,今年は大きな一歩を踏み出すことができました。
旭山動物園「恩返しプロジェクト」第一弾として

ボルネオへの恩返しプロジェクトです。
日常の生活で欠かすことのできない必需品となった植物油脂パーム油,
その恩恵を受け続けることで

モモの故郷ボルネオの熱帯雨林が驚く程のスピードで消え続け,
アブラヤシの畑に変貌し続けています。
また建築資材としてボルネオの熱帯雨林の木を使ったコンパネなどの木材も
日本にとってなくてはならない必需品です。

私たちの日常の暮らしが,オランウータンやボルネオゾウの首を
真綿でじわじわと締め続けているのです。
窓の外に見える身近な山よりも,生活との関わりという点では
ボルネオはもっと身近な場所でもあるのです。

プロジェクトは旭山動物園が中心となり
現地に野生生物レスキューセンターを

設計し建築しようという途方もない計画です。
でも始めなければ可能性もありません。

旭山動物園は,動物園が進むべき方向を示す羅針盤の役割を目指します。
常に一歩先に…来年につなげていきたいと思います。
皆さんにとって来年がいい年でありますように。
ミナミシロサイの「ノシオ」(ゲンちゃん画伯)

2009年11月30日月曜日

命の受け継ぎ (平成21年11月)

更新が遅くなり大変申し訳ありません。

平成21年度の夏期開園も無事に終わりました。
来園者数は昨年度に引き続き減少が続きました。
いろいろと言われますが,僕自身の原因の分析としては,
あまりにも容量オーバーの来園者数が持続したことが大きいと考えています。

飼育動物に対して取り組んできたことと同じように,
今こそ来園者に対しても
しっかりとした取り組みをしなければいけないと痛切に感じています。
混雑しているイメージが変なかたちで定着してしまいました。
減ったとはいえ今年も容量オーバーです。
裏返すとこれだけの来園者を向かえ入れる体制が整っていないと言うことです。
皆さんにとって旭山動物園はどんな場所でしょうか?
いつの間にか「お客さんが来たら連れて行く場所」になってはいないでしょうか?

先日うれしいニュースが届きました。
神戸に嫁いだカバのナミコが4月17日に母親になったのです。
ナミコは旭山動物園開園以来飼育している
ゴンとザブコの娘(1992年生まれ)です。
ザブコは1963年生まれで1967年に旭山にやってきました。
以来ゴンとの間に11頭の子が生まれ7頭が無事に成長し
新たな飼育地に旅立っていきました。
カバは繁殖力が強く産児制限をしないといけない種の代表なのですが,
計画的に繁殖に取り組みたくさんの子を残すことができました。
ナミコは母親のザブコの足腰に衰えが見え始めた1992年,
旭山のあととりと考えて計画繁殖させた子でした。

話が前後しますが,ナミコの前に生まれた「メスの子」は
「あらできちゃった!」子でした。
厳冬期に寝室の修理が必要となり,
一日だけ放飼場でゴンとザブコを同居しました。
プールには水もなく,放飼場は雪が積もった状態でした。
カバは水中で交尾をする,それまでの常識が破られた記念日です。
まさか愛を交わしているとはつゆ知らずにいたのですが,
翌年(1984年)秋,ザブコの寝室のプールに大きな物体が浮いていました。
それが「メスの子」でした。
これは大変とあわててもらい先を探したのですがなかなか見つからず,
7才になりやっとペアーを組む相手が見つかり旅立ちました。
「メスの子」なのはチャンスがあればいつでも旅立つ子だったので,
愛称を募集しなかったからでした。

さてナミコですが,寝室がゴンとザブコ用の2カ所しかないために,
ナミコが大きくなってもザブコと同居させていました。
いつまでも甘えん坊で8才になっても母親のオッパイをねだり,
母親よりも早く移動し餌を独り占めにするようになりました。
ザブコはまずます足腰が弱ってきて,
ナミコの同居が重い負担になるようになってしまいました。
2003年,あととりを断念し神戸市王子動物園にお嫁に出すことにしました。

命がしっかりと受け継がれました。
飼育下での継代はたくさんの園館との共同作業で始めて実現できます。
ナミコの子の成長を遠くから見守っていきたいと思います。
いつか里帰りなんてこともあるかも知れません。
それとザブコにも早く新居をつくってやりたい…と思うこの頃です。
カバの親子(ゲンちゃん画伯)

2009年10月30日金曜日

テナガザルの珍事件 (平成21年10月)

 秋です。
食欲の秋です。
食べ物には敏感に反応してしまう自分がいます。
この時期,事務所にはなぜか,
日本各地の銘菓がちりばめられているので大変です。
お菓子に手を出すのは,
食べたいと思った3回に1回と決めているのですが,
食べたいと思う回数が多いらしく
結果として他の人より多く食べてしまっているようです。
ヤバイ季節ですね。

てながざる館無事にオープンしました。

それにしてもテナガザルには敬服しっぱなしでした。
旭山動物園のサル類の中では群を抜く運動能力を持つシロテテナガザルの,
檻に閉じこめられた能力を解放してあげよう!これが基本テーマなのですが,
「どんな?,どの程度の能力を持っているのか?」
それがなかなか読み切れないまま設計,建築と進みました。

本来の連続した動きをする前に檻に当たってしまうのです。

くわしく言うと紙面が足りないのですが,
チンパンジーとオランウータンとニホンザルの持つ運動要素,
能力を合わせ持ち,素早さ,反応速度,身体のバネ,
身軽さすべてがウルトラ級なのがテナガザルです。
今までの施設では決定的な失敗はなかったのですが,
心の中では「転けるならこの施設かも…」という気持ちがくすぶっていました。

新居に引っ越しオープン一週間前,いよいよ初の放飼場デビューです。

勢いよく放飼場に出た彼らの動きは目を見張るものがありました。
見事なブラキエーション(腕渡り)目では追えない程の素早い動き…
そして数分後にある出来事が起きました。

新施設はとても複雑な構造です。屋根のかかったエリア,オープンなエリア

そして来園者側に立つ遊具エリア,それぞれに意味があるのですが,
オープンなエリアでは壁面から屋外に出ないように
オーバーハングした屋根をかけていました。
 
1頭がオーバーハングの下,

地上約7メートルに設置した長さ40センチの鉄棒の上に
ちょこんと座りふと上を見上げました。
次の瞬間なんの躊躇(ちゅうちょ)もなく青空に向かってダイブ,
あり得ない体位で屋根に手をかけ屋根の上にあがりました。
しばらく景色を見渡し屋根の縁に両手でぶら下がり,
数メートル下に張ってあるロープに飛び降り,戻ってきました。

「新居はこうなっているんだ,なかなかいいね。ありがとう」と納得顔でした。

飛びつく先が見えない,力学的にあり得ないと思ってたのに…
スゲーとしか言いようがありませんでした。
彼らは数分で新施設の構造を理解し,自分の行動をイメージできたのです。
ヒトなんてたいしたことないな,つくづく感じました。
もちろん対策を行いオープンを向かえましたよ。

シロテテナガザル(ゲンちゃん画伯)





2009年9月30日水曜日

秋の風物詩 (平成21年9月)

夜の動物園も終わり,足早に秋の気配です。
昨年度に続き来園者数は減少しているのですが,行列も緩和されて,
日差しの強い夏場は特にありがたいことではないかなと感じています。
とは言いつつも,さてどのように評価されるのでしょうか?

今年初めての試みとして,

博物館,科学館,動物園が連携して活動をしてみよう!と,
「昆虫の不思議な世界」展を

3施設がそれぞれの得意分野を生かして開催しています
(9月23日で終了いたしました)

旭山動物園では旭川の「鳴き虫展」を開催することとしました。
鳴き虫の定義付けはキリギリスとコオロギの仲間とし,
旭川で聞くことができる鳴き虫全種の展示をしています。

7月の下旬から採集しようとスタッフで話し合ったのですが,
今年は7月の低温でなんとキリギリスさえ成虫になっていませんでした。
こんなことが…と唖然としました。

8月に入り天候が回復し,やっとキリギリスが鳴き始めました。
照りつける日差しの中,

汗を拭き拭き園内と旭山スキー場で無事全種採集ができました。

キリギリス,イブキヒメギス以外はまだ成虫になっていませんでした。
一つ発見は,成虫よりも幼体の方が捕獲しやすいことでした。
特にヨモギの中で生活しているカンタンは

手強い相手との印象が強かったのですが,
ヨモギの群生地の中で捕虫網を振り回しただけで,

まだ小さな幼体がたくさん捕れました。

クサキリやササキリもそうでした。
鳴かないと見つけにくいのですが…
彼らが鳴くのは(オスだけ)メスと出会うための求愛行動なのですが,
鳴くことは他の生き物にも自分の居場所を教えることになります。
野鳥やカナヘビ,アマガエル…彼らを狙う動物はたくさんいます。
次の代を育むのも命がけなのです。

北海道にはあの文部省唱歌「虫のこえ」に出てくる

マツムシやクツワムシはいません。
せっかくの機会なので,

本州からあの歌に出てくるオールキャストを送ってもらいました。
到着してから数日,事務所に置いておいたのですが,
てながざる館のオープンに向けてなんやかんやと仕事をしていると
マツムシがチンチロリンととんでもなく澄んだ音色で鳴き始めます。
もうすぐ秋なんだなとしみじみとします。

日本は四季を彩る生き物であふれている国なんだなと思います。
この豊かな四季がいつまでも続き,共に暮らしていきたいものですね!

2009年8月30日日曜日

身近でこんなことが… (平成21年8月)

気がつけば,もうすぐ8月です。
今年もまた変な天候が続きます。
本州の猛暑とは別世界のようです。
こんな不安定な気候が
世界的な農作物の不作に結びついたらどうなるのだろう?
何から何まで輸入に頼る日本で,
お金を出しても売ってもらえない時がきっと来る気がします。
気力の衰えかかっている僕なんかは,真っ先にダウンするのでしょう。

先月の話の続きになるのですが,エゾシカの森農園に
富良野の高校の先生と生徒さんが参加されています。
生徒さんの実家が農家を営まれており,
エゾシカの食害もあるなどの話を聞きました。
実際にどんなことが起き,どのような思いあり,
どのような対策をしているのだろう?
そんな思いから,先生にお願いをして現地を見学させて頂きました。

10年前まではエゾシカによる農作物の被害はとるに足らないものだった。
4~5年前から急激に被害が増え経営を圧迫し
放置できない状態になっているとのことでした。
道東のように日中でもエゾシカを見ることはないので,
そんなに?と思ったのですが,
夜から早朝にかけて出没し,日中は山に帰って行くからと言っていました。
僕はボルネオでのプランテーションとボルネオゾウのことを思い出しました。

一見すると豊かな緑の山の麓に牧草地や畑が広がり,
調和の取れた豊かさにあふれた風景に見えるのに…
訪れた地区では山からエゾシカが出てこないように
山の裾に何十キロに及ぶ防護柵を設置していました。
ここではさらに電気柵も併用していました。
被害は昨年の十分の一に減ったとのことでした。
別の農家さんでは,スイカの被害の話を聞きました。
エゾシカは足でスイカを割って食べるのだそうです。
こちらでは個々の農家さんが,電気柵などで被害を防ごうとしていましたが,
費用や維持が大変で,今年度地区の共同で山の裾に数十キロに渡り
防護柵を設置する予定だとおっしゃっていました。

エゾシカが近年急激に増えているのは事実だと思われます。
ここ数年の暖冬,雪解けの早さが,
エゾシカの数をコントロール機能を失っているからです。
当たり前の冬ならば子ジカや老齢個体にとって冬は試練の季節です。
ここ数年は子ジカの死亡率が極端に下がっているのです。
エゾシカのメスは2才の秋に母親になるのです。

道央圏でも防護柵が急速に普及し始めています。
エゾシカは移動もできなくなり山に閉じこめられます。
今度は山の木々が「食害」と言うことになります。 
エゾシカは生きる場をなくしつつあります。
その先にはヒグマも…何かを始めなければ,そんな思いを強くしました。
スイカとエゾシカ(ゲンチャン画伯)

2009年7月30日木曜日

エゾシカとの共生 (平成21年7月)

何かスッキリとしない天気が続いています。
週末ごとに見事に雨ですね。
今年はどんな夏を迎えるのでしょうか?

今は,秋のオープンに向けてテナガザル舎も全貌が見えてきました。
とても複雑な形の構造体なのですが

「コンクリートでこんな形を具体化できるんだな。すごい!」と
感動しながら,打ち合わせにも精が入ります。 

「エゾシカの森」もう見ましたか?
旭山動物園では,草食獣

つまり食べられる側の動物の本格的な施設は初めてでした。
同じ景色,同じもの,同じ音を聞いても,

食べる側の動物とは正反対の反応をする動物です。
新しい環境への適応は「時間が掛かるだろうな」と考えていました。
エゾシカの身体能力はとても高くて

平原から森の中,切り立った岩場までを生活圏にしています。

「エゾシカの森」ではそんな生活環境を凝縮して再現してあります。
エゾシカの森に引っ越したエゾシカたちは,

生まれて数日で保護されて十数年経つ親と
昨年生まれた子の7頭(6月に1頭生まれたので現在は8頭)ですが,
まったく起伏のないなだらかな斜面のエゾシカ舎で暮らしていました。
引っ越してすぐに落ち着いたのですが,

人工的に作った岩山の蹄に伝わる感触,
たとえ土の上であっても,

目線の位置が変わることで見える景色の違いなど,
なだらかな斜面以外の場所では,明らかに緊張していました。

エゾシカたちが新しい環境のすべてを安全なものと認識すること,
今まで眠っていた身体能力が徐々に目覚めること,
そのために岩山に登る目的を与え続けることを気長に続けてきました。

担当者の努力の甲斐あって,

自然な動きの中で自発的に岩山登頂に成功しました。
まだまだ眠っている能力はあるのですが,これからも楽しみです。

エゾシカを知らない人はいないと思いますが,

裏返しで,では何を知っているでしょう? 
エゾシカを有害獣にしたのは誰でしょう?

僕たちの暮らし方は,

例えば花を植えた瞬間にアブラムシが害虫に変わります。
エゾシカの森農園も始まりました。
私たちの暮らしとエゾシカの暮らしは両立できるのか?共存できるのか?
さまざまなことを皆さんに考えてもらえればと思っています。
電気柵とエゾシカ(ゲンチャン画伯)

2009年6月30日火曜日

生き物がいるかぎり (平成21年6月)

例年よりも早い桜の季節も終わり,新緑の季節です。
いつもなら気分がワクワクする時期なのですが,
今年は晴れ晴れとした気分になれませんね。
全国的には新型インフルエンザの問題,
旭川市は丸井今井の撤退など今後が見えない状況が続いています。
最終的にはなるようにしかならないのでしょうが,
開き直っている場合でもありません。

現在動物園では,シロテテナガザル舎の建築が急ピッチで続いています。
霊長目の中では抜群の運動能力を持つ種です。
その「抜群」を十分に発揮できるようにと考えているのですが,
さてどうなるでしょうか?
テナガザルは形態としては核家族単位で暮らすので,
個体同士の関わりなども,注目してもらえるようにしたいと考えています。 

シマフクロウ舎(仮称)の設計は山場を向かえ,
アフリカ生態園の基本設計もそろそろ始まります。
そういえば「なぜアフリカ生態園なの?」とよく聞かれます。
この計画は旭山動物園開園の昭和42年からある総合動物舎の建て替えです。
総合動物舎は老朽化が激しく,いつ崩れるんだろう…という状態です。
総合動物舎で飼育している動物はエミューを除きすべて棲息地がアフリカです。
ですからアフリカ生態園として引っ越しをするのです。
もちろん動物の充実もはかりますが。
現在まで淡々と続けてきたことと変わりません。

アフリカ生態園が完成すると大型施設の立て替えは終わるのですが,
北海道産動物コーナーなどの職員手作りの施設が危ない状況です。
昨年は野生のエゾクロテンに金網を破られて
コミミズクなどのフクロウが食害にあってしまいました。
補修補修でつないではいるのですが,
サビが激しいのが原因なので根本的な対策にはなっていません。

動物園は,生き物が暮らすのですから,
人の家と同じようになんやかんやと手の掛かるものです。
「いつまで整備を続けるんだ」との声も聞かれますが
「生き物がいるかぎり」と答えざるを得ませんね。

高齢化が進んでいる動物たちもいます。
もうじゅう館のユキヒョウ,ライオン,アムールトラ,ホッキョクグマのコユキ,
開園からいるカバのゴンとザブコ,ワピチ…。
トラのいっちゃんは肝臓の障害が重度になりつつあります
(6月5日に安楽殺。6月6日のしいくにゅーす参照)。

ワピチは食欲元気にムラが出てきています。
カバのザブコは関節の障害が…
彼らは旭山動物園の歴史を僕たちと共に見続けているはずです。
僕たちは彼らから「やる気」エネルギーをもらってきました。

やっぱり新緑の春です。頑張っていきましょう!
シマフクロウ(ゲンチャン画伯)

2009年5月30日土曜日

初めまして… (平成21年5月)

初めまして。
遅くなりましたが園長の坂東です。
自分は全く人格者でもないし,

人に尊敬されるような人間ではありませんが,
動物たちのことを思う気持ちは,

そうは負けないと思っています。
旭山動物園には700からの動物たちがいます。
僕は彼らのための園長であり,
彼らの尊厳をたくさんのヒトに分かってもらうのが

仕事なのだと思うようにしました。
背伸びをせずに等身大で,

今までどおりコツコツやっていこうと思いますので,
よろしくお願いします。

さて,現在09年夏期開園の準備中です。
動物園の人事的にはいろんなことがあり,

てんてこ舞い状態ですが,
動物たちには特別な年と言うことはなく,

淡々とめぐってくる春なのです。
雪解けも早く,共同作業も順調です。
ただし,09年度のオープン4月29日には,

エゾシカの森がオープンします。
ダブルでのオープンなので大変です。
新施設の点検や整備に時間を要していて

エゾシカの引っ越しもまだ(4月19日現在)なので
けっこう焦りモードに入っています。

振り返ってみると新施設は

夏や秋のオープンが多かったなと思います。
さらに今秋の完成に向けて新テナガザル舎の建築も始まりました。
さらにホッキョクギツネ舎の工事も始まりました。
さらに…てな状態です。
雨もなく穏やかな天候なので関わっている業者の方の工程も
ハードな中でも順調に消化できているのが唯一の救いでしょうか。

エゾシカの森はオオカミの森と一体で一つのコンセプトの完成です。
新たな旭山のスタートだと意気込んでいます。
飼育動物種リストだけを見たら,

何の特徴もない平凡な地方の中規模動物園が
日本を代表する動物園になれたのは,

自分の自慢をしない動物たちと,
こんな動物じゃつまらないと思ってしまった来園者の間に,
「みんな素晴らしいんだ,凄いんだ!」と
動物たちのすばらしさを知っている飼育係が仲立ちの役目をし,
いわば架け橋となって,現在に至りました。

来園者数も全国一,二位を争うまでになりました。
「普通」の動物たちでも素晴らしいと共感してくれる

人の輪が広がった結果でもあります。

でも,これは私たちにとっては

ある意味ずっと昔から当たり前のことだったのです。
そう考えるとこれからがスタートです。
飼育動物と彼らの本来の生息地,故郷を結ぶ架け橋として,

動物園ができることは何か?
そのことを強く意識をしての取り組みを具体化していきたいと思います。 

その第一弾がオオカミ・エゾシカの森です。
どちらも北海道が故郷です。
オオカミは私たちが絶滅させてしまった種で

エゾシカは有害動物扱いです。
私たち人の暮らし,オオカミ,エゾシカの暮らし,
その関わり方の原点を見つめ直す施設にしたいとの

コンセプトを持っています。 

「行動展示」が旭山の代名詞みたいになっていますが,

行動を含む営み展示だと思っています。
見続けることで生身の命として心に残るのだと思います。
共生の原点です。
皆さん今年は最低4回動物園に足を運んでみて下さい。
我々が伝えたいこと、

なにより動物たちからのメッセージが伝わると思います。
自画像(ゲンチャン画伯)

2009年4月30日木曜日

悪者は誰? (平成21年4月)

今年も例年になく早い雪解けでした。
4月の中旬まで雪割りに汗を流していたのがうそのようです。
流氷も早々と沖に姿を消し、ゴマフアザラシたちが心配です。
流氷の上で生まれたゴマフアザラシの赤ちゃんは、約3週間で離乳します。
離乳した子はたどたどしい泳ぎで、
自力で食べ物を確保しなければいけません。
水深の深い沖合いの海では食べ物を採ることが出来ません。
 
4月は越冬をしに日本に渡ってきていた渡り鳥が
繁殖のために北に向かう季節です。
オオハクチョウも群れでシベリアを目指します。
北海道では昨年5月に
野付半島とサロマ湖で死亡していたオオハクチョウ各1羽から
高病原性鳥インフルエンザの感染が証明されました。
その後の水鳥類の糞便を中心にした疫学調査からは、
ウイルスはみつからず、オオハクチョウを含め鳥類の大量死や、
罹患個体(病気にかかっている個体)も見つかりませんでした。
オオハクチョウからの高病原性鳥インフルエンザの発生を受け、
昨年の秋から水鳥類への餌付け自粛が広がりました。
それに伴いハクチョウたちの行動にも当然変化が現れ始めました。
人とのかかわりが
より自然な関係に向かう出発点となればいいと考えています。

ところが、3月7日付けの新聞に
「タンチョウ、鳥インフル感染の危機 阿寒 餌場にオオハクチョウ」
という記事が載っていました。

高病原性鳥インフルエンザと鳥インフルエンザを区別していないという
根本的な誤りもあるのですが、
タンチョウの餌場にオオハクチョウが現れるようになったので、
追い払いを考えなければいけないといった趣旨の内容でした。
あまりに短絡的で危険な記事だと思います。

平成6年にエキノコックス症発生で閉園した際の
キタキツネに対する反応を思い出します。
それまでマスコット扱いで可愛がり餌付けをし、
人の生活圏に招きいれておきながら「怖い」となると
手のひらを返すように悪者扱いになりました。
ましてオオハクチョウは昨年「単発的」に発生が確認されただけで、
オオハクチョウも被害者である可能性が高いのです。

タンチョウは過去に絶滅のふちから冬場の餌付けにより個体数を増やし
絶滅を回避した経過があります。
生息環境が悪化し続ける中で餌付けにより個体数が増え、
近年ではタンチョウによる農作物の被害も問題になり始めています。
タンチョウも「悪者」になる可能性を秘めています。
良くも悪くも人が深く係ることが問題の発生源であることを
自覚しなければいけないのではないでしょうか?

もっと言えば人の生活とはそういう一面を持っていることを知ることから
問題解決を考えないといけないのではないでしょうか?

オオハクチョウは悪者ではないのです。
一方的な愛情!?(ゲンチャン画伯)

2009年2月28日土曜日

流氷ひろば (平成21年2月)

さて,今は映画公開前の取材ラッシュです
(原稿を書いたのが1月18日なので…)。
対応に大わらわなのですが,旭川の先行上映,
そして全国上映と順調な船出を迎えられたらいいなと願っています。
それにしても今年の冬はつかみ所がありませんね。
そんなに寒いわけでもなく,
雪も全か無みたいな降り方をするし…

あざらし館念願の流氷作戦も新戦略をたてて挑んでいますが,

はたしてどうなりますか?
昨年はプールの一部を仕切り止水域として結氷できたのですが,
仕切をはずすと水温が高くなり,氷と水面の間に空気層ができてしまい
今ひとつ臨場感に欠けてしまいました。
今シーズンは循環ろ過の宿命である
高水温をいかに下げるかに挑んでいます。
ちょっとマニアックな話になるのですが,
あざらし館のプールの水は,循環ろ過をして透明度を保っています。
アザラシは水中で糞を大量にするので,
ろ過能力はぺんぎん館などよりも高能力です。
プールの水約250トンを一時間でろ過する能力があります。
ちょっと乱暴な言い方ですが一日に24回
水を入れ替えていることになります。

さて問題はろ過器のある機械室は

プラス5度以上に保たなければいけません。
さらに来園者のはいる館内は十数度になるようにしています。
つまり保温している状態なのです。
あざらし館のろ過はちょっと特殊で,
透明度を維持する物理ろ過槽の他に,
巨大な生物ろ過槽があります。
これは透明度を維持するためではなく,
水質を魚がすめるようにするためのものです。
水質の検査を継続する中で,
この生物ろ過はそれほど有効に働いていないことが分かっていたので,
このろ過槽のろ剤を入れ替えて物理ろ過槽にしました。
そしてろ過流量を下げて,
プールの水がより長く外気温にさらされるようにしました。

さらに夜間ろ過を止める試みも始めました。

オープン以来24時間ろ過は稼働していました。
来園者が不快に思うくらいに水が濁るのが怖くて
ろ過を止める試みはしていませんでした。
そこで正月の閉園期間中に夕方からろ過を止める実験をしました。
朝,ろ過を始めると開園の時間までには水の濁りは許容範囲まで
回復することが確かめられました。
現在まで(1月18日)この方法を継続することで,
最低気温が下がらない中で,
水温は徐々に下がり3度台まで下がって来ています。
躯体(くたい)のコンクリートも冷えてきたようです。
ここで一気に大量の雪を投入して表面が凍れば
流氷作戦に明かりが差し込みます。
明日,第一弾の雪大量投入作戦を決行します。
担当者も頑張っています。
どんな結果になるか楽しみです。
この手紙が届く頃には
もしかしたら水中から流氷の底を見上げる景色が…
そんなに甘くはないかな…
 

(無事に流氷広場が完成しました。
    あざらし館のコンセプト「流氷と共に生きるアザラシ」が実現できました!)
流氷ひろばのゴマフアザラシ(ゲンチャン画伯)

2009年2月15日日曜日

クリスの悲報 (平成21年2月8日)

オオカミの雌クリスが2月7日朝死亡していました。
頸部に咬傷があり床には血痕がありました。
解剖の結果、頸部には牙が貫通した傷が多数あり、
出血した血液が肺に入り窒息により死亡したことが確認されました。
一方的にやられた状態で、他の2頭、ケンとメリーには争った傷跡もなく
何事もなかったかのように平然としていました。
当園でのオオカミの飼育の目標は、
ゲンちゃん日記平成20年5月オオカミらしくを目指してを参照してください。
ゲンちゃん日記:オオカミらしくを目指して

クリスは当初から人に対する依存度が高く、

担当者や飼育係を見つけると甘えた声を出し檻越しにすり寄ってきました。  

前飼育地でも群れのリーダーを追われた個体とだけ同居が可能で、
常に最下位の個体でした。
「オオカミの森」がオープンした当初、オオカミ同士での行動を見ていると、
明らかに相手がいやがっているのにまとわりついたり、
間が読めない行動が頻繁に見られました。
下手に出て甘えるしぐさをしたり、3頭の中に餌を入れると
クリスが食べていてもケンやメリーが唸るとあっさりと餌を手放す状態でした。
ケンとメリーは一歳になったばっかりでまだ精神的に成獣ではありません。
体格では負けていたのですが、精神的な部分で特にメリーに対して
優位な地位を保ってほしいと見守ってきました。
秋になり運動量も増えクリスの体格は明らかに逞しくなってきました。
前足の跛行も目立たなくなってきました。
遠吠えもしっかりとするようになりました。
甘えるようなしつこい行動は見られるのですが、
決して下手に出るだけではなく
時には唸られると唸り返したりもするようになってきました。
ケンが明らかに優位でクリスとメリーの関係は微妙な状態でした。
ただケンはメリーと行動を共にする場合が多く見られてはいました。
これはメリーにとってはとても優位な条件になります。

冬になり年が明け、クリスに発情の兆候が見られました。

陰部に軽い発情出血が認められるようになりました。
クリスの行動は特にケンに対して積極的になり始めました。
ケンとメリーが並んでいると間に割って入ったり、
メリーを牽制したりするようになりました。
ケンも積極的とまではいえませんが、クリスの匂いをかいだり、
追尾するような行動も見られました。
遠吠えも3頭同じ場所ですることが多くなりました。
メリーには発情の兆候は見られていなかったので、
この状態ならば当初の目標通り
ケンとクリスでの繁殖が達成できるのではないかと
思われていた矢先の出来事でした。

クリスとメリーの上下関係や、ケンとの関係がはっきりとしないまま、

クリスに発情が来てしまったことが今回の出来事の原因だと思われます。
ケンが伴侶としてクリスを第一位の雌と認めていたならば
今回の事件は起きなかったはずです。

ケンなのかメリーなのか発情の来たクリスを排除しようとする感情が
強く働いてしまったと思われます。
咬傷は頸部のみに集中していたので
ケンとメリーのどちらか一頭による攻撃だったと思われます。
前日夕方まで放飼場では
死に至る攻撃を受ける兆候は認められていなかったので、
寝室内で攻撃を誘発してしまう何かが起きたのでしょう。

体格も逞しくなり、僕が檻越しで見ていても甘えるしぐさを見せなくなり

オオカミとしての自覚が確実に育って来ていたのですが
残念な結果となってしまいました。
ケンとメリーは兄弟なので
この2頭でのペアーの形成は避けなければいけません。  
旭山での将来の計画は抜本的に見直さなければならない状態になりました。

2009年1月30日金曜日

新たな一歩 (平成21年1月)

明けましておめでとうございます。
前号で順調に冬が訪れていると書きましたが,
そうではなかったですね。
12月17日現在,ペンギンの散歩は
いつ始められるのか全く見当がつかない状況です。
長期的に見てどうか分かりませんが,
ここ数年はやはり気候変動は明らかですね
(12月28日から実施できました)。

今年は丑年です。
早いもので僕は年男です。
動物園にはウシはいませんが,
一歩一歩惑わされることなく
マイペースでやっていきたいなと思っています。

今年は映画「旭山動物園物語ペンギンが空を飛ぶ」が放映されますね。
皆さんは見に行かれるでしょうか?
過去の歴史が凝縮され,
少数の役者さんが数人分づつを演じておられるのですが,
こんなこともあった,あんなこともあったと思い出されることが多く,
感慨深いものがありました。

客観的には旭山動物園は「成功」しているので
映画も成功物語なのですが,
見終わって改めて「これからが勝負なんだ」と強く感じました。
今年度は入園者数が前年度より減少します。
右肩上がりの時代ではなくなります。
成功=来園者数が方程式の中,
来園者数ではない成功を目指していかなければいけません。

来園者数が少なくなることで,
僕たちスタッフが伝えたいことをより多く伝えられるようになり,
来園者の満足度を高め,こどもたちに希望や夢や,
未来につながる新しい価値観が芽生え,
真の意味での動物たちとの共生が見えてくる場になるように
努力を惜しんではいけないのです。 

何より動物園が,集客施設というだけの位置づけではなく,
動物園が動物に関わる社会貢献活動に積極的に参画し,
動物を飼育している責任を
明確に果たしていかなければいけないと思っています。
来園者数に左右されない社会的な地位を構築しなければ,
動物園はただの動物コレクションの場で,
旭山動物園もいつかブームで終わってしまいます。

そういえば,キングペンギンのメスが1羽新たに仲間入りしました。
男鹿水族館からのブリーディングローンです。
旭山には11羽の成鳥のキングペンギンがいますが
メスは2羽だけでした。
2羽のメスにとってオスは「よりどりみどり」なはずなのに,
両方とも1羽のオスに思いを寄せていたり,
オス同士のペアーができたり,何かと悩みはつきませんでした。
新しく仲間入りしこのメスがはたして誰とペアーになるのか?
(まさかメスの三つ巴?)
今から春になるのが楽しみです。
この手紙が届く頃には「散歩」にも参加しているかも知れません
(参加しています)。

皆さんにとって,良い年でありますように。
動物たちにとっても明るい未来が見える年でありますように。
キングペンギンの散歩(ゲンチャン画伯)

2009年1月7日水曜日

動物の行動解説 (平成21年1月特別号)

さて、新たな年を迎えたことだし、
何かしたいな~と思い立ったのがゲンちゃん日記特別号です。
動物たちの特徴的な行動などを映像を交えて紹介しようと思います。

第一回は、レッサーパンダです。
正月の誰もいない閉園期間だから撮れた映像を紹介します。

その映像をまずご覧ください。動画はこちら

レッサーパンダは飼育していて、抜群におっとりとした動物です。
ジェンツーペンギンにつうじるものがあり、
警戒心よりも好奇心の方が勝ってしまう習性があります。
これは野生の生息地での捕食圧が低いこと、
あるいは安全な生活圏を持っていることを反映しています。
飼育下生まれでも特別な調教などを行わない限り、
本来の習性は失われることはありません。

ただし、いざとなれば当然威嚇や攻撃をします。
レッサーパンダの武器はとても鋭い爪とまぁまぁ強力な歯です。
この動画の行動はレッサーパンダ得意の威嚇行動です。
レッサーパンダ同士でもじゃれながらよくやっています。
他にもネコのように半身になって毛を逆立てるパターンもあります。
凌凌(リンリン)はモートに降りる常習犯です。
モートに降りるとイヤな思いをすることを学習させようと、
凌凌(リンリン)を威嚇してみました。
ところが凌凌(リンリン)もやるもので僕に挑みかかってきました。
ネコパンチならぬレッサーパンチです。
僕の威嚇攻撃は彼には効かなかったようです。
それにしても不思議なヤツですネ。

 関連リンク:好奇心(平成20年1月)
レッサーパンダ(ゲンちゃん画伯)

2009年1月3日土曜日

新年のごあいさつ (平成21年1月3日)

みなさま あけましておめでとうございます。
今年は何が起こるのかわからない、見通しのきかない年になりそうですね。
どっちかと言えば暗い年になりそうですが、
いろんな意味で、これからの未来に向かった
新たな価値観や仕組みの構築が始まる年になるのでしょう。
まぁ考え方を変えれば激動のまっただ中を体験できるし、
自分たちが主役にもなれる可能性があるともいえるでしょう。
 
今の社会は明らかに「個」の時代です。
個の権利がとても強く主張され、僕には「これでいいの?」
と思えることが多くあります。
個はとても大切ですが、全体があって初めて個として存在できます。
全体があること、つまり社会や国があることの意味を
今一度しっかりと考えないといけない気がします。
ヒトは飛び抜けたコミュニケーション能力を持ち、
異常ともいえる密度で生活をする仕組みを作り上げてきました。
 
僕は東京など都会に出張に行くと違和感を感じることがあります。
山手線に乗ると(これしか乗れない(^_^;))隣や向いの人が
あたかも周りに誰もいないかのように振る舞っています。
携帯やゲーム機をいじっている人、化粧をなおしている人、
本を読んでいる人…
自分一人の部屋にいるかのような表情をしています。
目があっても人を見ている目ではなく
ポスターか何かを見ているように感じます。
確かにあの雑踏の中にいると人として意識していては
とてもじゃないけどやっていけない気はします
(田舎ものの僕は人人人…に見えるので
都会への出張は精神的にとても疲れる)。

関わりを持たないこと、いやなところは見ない、
都合のいいところだけ関わることで
集団生活が維持される方向にあるようです。
もはや社会ではなく集団です。
 
動物園も当然、時代や社会を反映する一面を持っています。
各地の動物園で個体のスターが誕生しているのも
時代を反映しているといえるでしょう。
一方で地球規模での気候変動や環境破壊などの問題解決が
急務となっていて、生物多様性、保全といった言葉を
頻繁に耳にするようになりました。

この言葉の意味するところは、もはや個体を保護、愛護する視点では
問題を解決できない段階に来ていて、
全体の仕組みそのものを守っていかなければいけないという視点に立った
方向性を示しています。
擬人的な興味から生まれた個体のスターから野生動物、環境の保全、
共生の感覚は非常に生まれにくいのではないかと思います。

旭山動物園は、それぞれの動物らしい命の営みを
淡々と伝え続けていきたいと思います。
その理念をとおして、
動物園が存在するからこそできることを具体的な形にしていく
スタートの年にしたいと考えています。

今年もみなさまにとってよい年でありますように。
09新年(ゲンちゃん画伯)