2007年7月26日木曜日

知ってるつもりで知らないこと(平成19年7月)

今年は鳥類の産卵が多くとてもワクワクしています。
ぺんぎん館の産卵も今までになく多く,全部孵ったらどうするの?
とスタッフがうれしい悲鳴をあげています。

そういえば,先日お客さんが「売店で売っているペンギンの卵っていうプリン,
ここのペンギンの卵使っているの?」って聞かれました。
「おやおや」と思いながら,
「年に一回種によって違うけど1卵か2卵しか生みません。
大事な大事な卵なんですよ」って説明はしたのですが…
まさかそんなふうに考えるなんて思ってもいませんでした。

卵と言えばニワトリの卵で年中生む,みたいな連想から
飼育しているペンギンもそうだと思ってしまう人もいるんですね。
まぁ「ペンギンはいつ赤ちゃんを産むのですか?」なんて
真顔で聞いてくる人もたくさんいますから,
ペンギンの卵でプリンを作るくらいで驚いていてはいけないのかも,
と変に納得したりしました。
 
ペンギンといえば,水中を泳ぐペンギンを観ている人が,
羽毛の間に溜まった空気が水の圧力で押し出されて,
背中から気泡となって水中に出ているのを見て,
「ペンギンは背中に鼻の穴があるんだね,イルカと同じだね」
なんて会話していたりします。
冬期キングペンギンの親よりも一回り大きく見える茶色い雛を見て
「あれがここのボスだよ」とか
「ペンギンの皮膚の色って白とか黒とかオレンジ色とかあって不思議だね」とか,
一番ビックリしたのは
「これはマグロかなんかの魚だべ,ペンギンはどこにいるんだ」でした。
あなたはペンギンのことどれくらい知っていますか?
 
知らないと言えば,最近気がついたのですが,動物の生息地,
つまり野性ではどこに住んでいるのか,を皆さんあまりにも知らないのです。

チンパンジー,ワオキツネザル,カピバラ,クジャク,シロサイ,キリン,
キングペンギン,ゴマフアザラシ
(これは知っていて欲しいな)さぁ皆さんどうですか?

多分全部は分からなかったであろうことを前提に(分かった方ごめんなさい)
「動物園は飼育動物とふるさとに住む彼らの架け橋」
でなければいけないのですが,
ふるさとがどこか分からなければ架け橋になるきっかけすらつかめません。

これでは動物園の動物は野性と切り離されたペットと同じ感覚で
見る対象で終わってしまいます。
僕たちが展示方法をもっと工夫しなければいけないのは確かです。
が,種名看板をまず見てください。
あるいは解説看板を読んでみてください。
どうですか,今度は「棲んでいるところ」を確認しに
「混んでいるからイヤだ」なんて言わずに
動物園に来てみませんか?
イワトビペンギンの親子(ゲンちゃん画伯)