2004年8月30日月曜日

野生動物保護活動の実態(平成16年8月)

さて7月も中旬を過ぎて夏本番です。
連日たくさんの来園者があり、
その数は僕たちの予想をはるかに上回っています。
この手紙の頃には結果が出ているでしょうけど、
月間の入園者数日本一が現実味を帯びてきています。
すごいことなのですが、
まだ日本一になるにはいろんな面で分不相応な気がします。
もう少し時間をかけて実力を蓄えてから
達成できた方がいいと感じています。
旭山動物園の名前が、
現実とはどんどんかけ離れて一人歩きを始めているような、
地に足がついていないような、
漠然とした不安が最近はいつも心の中にあって落ち着きません。

話は変わって、旭山動物園は昔から傷ついたり弱ったりした

地元の野生動物の保護活動を行っています。
数年前からは、金額が少ないので
数ヶ月間は「北海道」からの委託契約で行い、
残りは昔からのボランティアとして行っています。
本来野生動物は、都道府県が責任を持ち管理することになっていて、
傷病鳥獣についても動物愛護の精神から
やはり都道府県がしっかりとした考え方を基に保護活動をすべきです。
しかし、「道」の場合は保護収容施設を持っていないため、
委託事業として傷病鳥獣の保護活動を行うことにしました。
内容は市民などに保護された個体は、
まず鳥獣保護員や地元の獣医師に運ばれ(一次収容)
その中で長期の治療が必要な個体や野生復帰が見込めない個体について
動物園(二次収容)に持ち込まれるネットワーク事業です。

しかし、実際にはほとんどが直接動物園に持ち込まれています。
僕たちは本来、「道」がしっかりとした保護収容施設を持つべきだと思っていて
今は過渡期だと位置づけていました。
ところが「道」は、「これでいい」みたいなところがあって
最終的には動物園や心ある獣医師などが
ボランティアでやってもらえると見ている節があります。
今年は鳥インフルエンザのこともあって、
短期間とはいえ契約の内容について契約を始めた当初からずれてきている部分や
改善したい点について協議しました。
まずは、当初するといっていた土日対応についてです。
本来は上川支庁が窓口になり、
保護した方に「どこどこの一次収容施設に持っていって下さい。」
等の指示をするべきです。
ところがこれは「できません」。
次に持ち込まれた個体の血液検査や病原菌の検索、
死亡原因の究明などについて
「道」が責任を持ち経費も負担して欲しいとの協議には、
「委託契約でお金を払っています。
必要と考えられる検査はそちらで行って下さい。」との回答。
感染症などを防ぐことに意識が全くないようです。
ということで今年度は契約を結ばないことにしました。

今後の経過についてはまた報告します。

トビ

画:ゲンちゃん