2004年6月30日水曜日

あざらし館オープンに向けて(平成16年6月)

この手紙がつく頃、今年度最大のメインイベント「あざらし館」が
よっぽどのことがない限りオープンしているはずです。
今、オープン3週間前なのですが、
この頃から悪いことばかりが頭をよぎるようになります。
この前は浮かべてある漁船が沈没している夢を見ました。
不安のタネがいっぱい見つかるのもこの頃からです。

もうあざらし館は全てできていて、アザラシの引っ越し、
海水魚の手配、手作り看板の作成など最後の作業に取りかかっています。
まだ一般開放されていない今だけが、自分だけのあざらし館です。
夜、水中照明をつけて、アザラシを眺めています。
何時間居ても飽きなくて、
こんな贅沢いいのかなって思いながら時間が経ちます。
考えていたようにアザラシが楽しそうに泳いでいて、
水槽越しに目が合う瞬間がたまりません。
なんか言いたいのかな…なんて動物園人らしからぬことを思ったりします。
正直みんなのものになってしまうのが、ちょっと寂しいなって気分に浸っています。

さて、あざらし館で飼育的に最大のチャレンジは、魚とウミネコとの同居です。
テトラポットの隙間に魚が隠れていて、たまに出てきた魚をアザラシが追う、
漁船の縁にはウミネコがとまっている。
そんな当たり前の風景を再現したいと考えたからです。
魚の同居は水の管理がうまくいくかが勝負です。
僕たちが泳ぐプールのように、きれいにするだけならば問題ないのですが、
塩素が多いと魚は生きていけません。

そこで熱帯魚を飼育するのと同じような
生物ろ過を取り入れたシステムにしました。
先日、試験的にウグイを放したのですが、
当然アザラシに追われて命を落とすものもいたのですが、
テトラポットの隙間に逃れたものも多数居ました。
そして1週間が過ぎても、ウグイは生存しています。
ウグイがすめる水ができたのです。
しかもアザラシが見えなくなると泳いで出てくるのです。
ウグイの補充はみんなで釣ってくる作戦です。

もう一つのウミネコ同居は、これから取り組みます。

はたしてオープンの時に同居が成功しているでしょうか?

ゴマフアザラシのハム

画:ゲンちゃ